朝ドラ「ばけばけ」と、棚の奥にあった一枚のCD
ちょっと片付けをしていたら、興味深いCDが出てきました。
『Nine Kwaidan Ballads』——
**舘野 泉**先生によるピアノソロ作品です。
今、朝の連続ドラマ ばけばけ が放映中ですが、
このCDは「小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)来日100年」を記念して制作されたもの。
作曲はフィンランドの作曲家 Pehr Henrik Nordgren、
原作は Lafcadio Hearn の『怪談』です。
以前このCDを初めて聴いた時、
正直な感想は「少し怖い音楽だな」というものでした。
そのまま長い間、棚の奥にしまわれていた一枚です。
今回、ドラマをきっかけに思い出し、
先入観を持たずに、改めて聴いてみることにしました。
曲名を見ず、音から受けたイメージだけで
それぞれに仮の題名を付けてみると、
1破壊、2けむり、3息苦しさ、4別離、5後悔……
(1otei 2Yuki-onna 3Mugennkane 4Oshidori 5Mujina.....)← 答え合わせ
どれも、人の内側にある感情ばかりが浮かんできました。
中でも特に印象深かったのが、
後から曲名を見て「雪女」だと知った一曲で<2けむり>でした。
冷たさと静けさの中に、
西洋と東洋が自然に溶け合っているような感覚。
怖さというよりも、
人と人ならざるものとの境界に立つ“気配”を
そっと感じさせる音楽だと思いました。
舘野泉先生は、
一度大きな病を経験されながらも左手のピアニストとして再起し、
90歳を過ぎた今もなお、音楽活動を続けていらっしゃいます。
その姿勢には、長年ずっと深い敬意を抱き続けております。
また、舘野先生のお導きで日本に紹介された
ピアノ教本<スオミピアノスクール>の考え方は、
今でも私自身の指導の中に息づいています。
音を味わう事、音に自然と興味を持たせる事、
教える対象の子どもも一人の人間として尊重する事。
それは、技術以前の、音楽への向き合い方そのものだと感じています。
同じ音楽でも、 年齢や経験によって、聴こえ方は大きく変わります。
以前は「怖い」と感じたこの音楽が、
今は静かに心に残るものとして響いてきました。
音楽との再会とは、
こういう形で訪れるものなのかもしれません。
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